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豪カジノのエコー、買収標的 中国顧客増に向け争奪戦激化も

シドニー唯一の公認カジノ、「ザ・スター」を経営する豪エコー・エンターテインメント・グループが、競合する豪クラウンの買収対象となっている。増加が見込まれる中国人観光客の獲得に向け他社の参入も予想されることから、カジノ業界では過去約5年で最大規模の案件に発展する可能性もある。

エコーでは今年2月、幹部によるスタッフへのセクハラ疑惑が浮上し、同社株は市場最安値を記録。メルボルンに拠点を置くクラウンは同月下旬、保有するエコー株を10%に倍増させ、さらなる買い増しに向け規制当局に承認を求めていることを明らかにした。

エコーは2008年から8億7000万豪ドル(約677億円)を投じてシドニー湾沿いのカジノを改装。5つ星ホテルや招待客専用のゲームルーム、米ニューヨークの有名レストラン「モモフク」の初の海外店などを併設し、VIP顧客用に2機のプライベートジェットも用意している。同社の買い手候補は、中国本土で唯一カジノが公認されているマカオを越えシドニーまで足を伸ばす中国人VIP顧客の開拓も可能となる。

スイスの金融大手UBSによると、エコーやクラウンのカジノを訪れるVIP顧客の掛け金は14年までに1000億ドル(約7兆9000億円)に達する可能性があるという。同行は、シンガポールでカジノ経営を行うゲンティン・ジンガポールや米カジノ大手ウィン・リゾーツもエコー買収に関心を示すかもしれないとの見方を示した。

豪最大の投資銀行マッコーリー・グループはゲンティンが同買収に45億豪ドルを支払う可能性があると予測。ブルームバーグのデータによると、実現すれば06年以来、カジノ業界では最大規模の買収となる。

マカオの昨年のカジノ収益は340億ドルで、米ラスベガス・ストリップ地区の約6倍。だが、UBSのアナリスト、サム・セオドア氏は、マカオではアジア中のギャンブラーが用意している掛け金の全てを受け入れるキャパシティーがないと指摘。こうしたなか、シンガポールやオーストラリアが中国本土からのカジノ顧客の受け入れを狙っていると説明した。

【2012年5月21日 Bloomberg】



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